悪性リンパ腫


悪性リンパ腫は20種類以上のタイプが有るといわれていますが、大きく分けると、
ホジキン病(ホジキンリンパ腫)と非ホジキンリンパ腫があります。
日本人の悪性リンパ腫では、ホジキン病は約10%と少なく、大半が非ホジキンリンパ腫です。

非ホジキンリンパ腫の病気がおよぶ場所はリンパ節が多いのですが、皮膚、脳、眼、鼻腔、副鼻腔、扁桃(のどの奥にある組織)、咽頭、唾液腺、甲状腺、乳腺、肺、縦隔(じゅうかく:左の肺と右の肺の間の胸の正中部分のこと)、胸膜、胃、小腸、大腸、肝臓、脾臓(左上腹部にある臓器)、精巣、卵巣、骨など、全身のあらゆる臓器に発生する病気です。

非ホジキンリンパ腫にはさまざまなタイプがあり、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫とNK細胞リンパ腫があり、低悪性度リンパ腫、中悪性度リンパ腫、高悪性度リンパ腫の3つに大別されます。


日本では1年間に発生する悪性リンパ腫は約10,000人で、少しずつ増えています。
H11年度死者数約7600人。

症状の注意点
頸部、わきの下、足のつけ根などのリンパ節が腫れ、発熱や体重減少、寝汗、身体のだるさ、かゆみなどがみられることもあります。リンパ節以外の臓器に発生する悪性リンパ腫の場合は、その部位がはれてきたりします。

病期:I期 II期 III期 IV期に分かれています。

I期:右の頸部、左のわきの下など、ひとつのリンパ節領域のみのリンパ節がはれている

II期:上半身もしくは下半身のみの2ヶ所以上のリンパ節領域が侵されている         

III期:上半身、下半身の両方のリンパ節領域が侵されている                   

IV期:臓器を侵していたり、骨髄や血液中に悪性細胞が拡がっている              

治療法
非ホジキンリンパ腫に対する有効な治療法には
放射線療法、抗がん剤による化学療法外科療法などの複数の治療法があります。                                                    
他のがんに比べて、非ホジキンリンパ腫は放射線療法や化学療法がよく効く悪性腫瘍であることがわかっています。ときに、これらの治療法を組み合せることが必要になったり、これらの治療に
造血幹細胞移植療法(骨髄移植療法を含む)を用いたりする場合があります。

低悪性度
I、II期
病変が存在する部位に対して放射線治療を行うのが一般的です。放射線治療により約半数の方に治癒が期待できます。

III、IV期
抗がん剤の併用療法によって大半の方に病変の縮小効果が認められ、多くの方では病変がほとんど消失した状態(寛解)になります。しかし、完全に治すことは難しい病気です。
これは、進行の速い中悪性度以上の非ホジキンリンパ腫に比べると、抗がん剤がむしろ効きにくいためであると考えられています。
III、IV期の低悪性度リンパ腫の患者さんの平均生存期間は10年前後とされています

中〜高悪性度リンパ腫
ビンクリスチン、エンドキサン、アドリアマイシンが最も有効な抗がん剤です。
この3つの抗がん剤に副腎皮質ホルモンを加えた4剤による併用療法(CHOP療法など)が
最も標準的な化学療法とされています。
CHOP療法を3コ−ス行った後に放射線療法を追加することによって70%以上の患者さんに
治癒が期待できることが明らかになりました。

脳に発生したリンパ腫では、これまで主に放射線療法が行われてきましたが、その治療効果は
十分ではありませんでした。しかし最近ではガンマナイフが有効であることが判ってまいりました。

治療法

20種類以上ある細胞の形態によっても病気の広がり具合によっても治療法が異なってきます。

CHOP療法=抗がん剤のシクロホスファミド、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ビンクリスチン、
と副腎ホルモンのプレドニゾロンを使います。


胃の粘膜にできたMALT(マルト)型低悪性度には除菌療法が有効。

新治療薬 リツキシマブ
この薬はB細胞だけを標的にするため、副作用は少ないと考えられています。他の治療と併用など。

化学療法(抗がん剤) 4種類の薬剤を投与するCHOP療法など。通常は3週に一回。
通常、連日の抗がん剤治療を行います。この治療の結果が予後を決定する可能性が高いため、強力な治療により副作用もかなりの頻度で認められます。
放射線療法 脳や、脊髄などの中枢神経に浸潤している場合は、髄注に加え、脳や脊髄に対して放射線療法も行うことがあります。
脳への転移ガンはガンマナイフが副作用も少なく最善。
骨髄移植療法
自家造血幹細胞移植
ミニ移植
健康な方からの移植(同種移植)が一般的ですが、自分自身からとっておいた造血幹細胞を移植する自家移植療法も行われています。

同種骨髄移植=白血球の型(HLA)が全部、またはほぼ一致した造血幹細胞提供者(ドナー)から正常な造血幹細胞を採取します
大量化学療法後、
採取した正常の造血幹細胞を、静脈から輸血のように体内に入れ、破壊された骨髄と入れ換えます。
同種骨髄移植は全身状態が良好で臓器機能が正常であれば、50〜55歳までは施行可能とされています。

自家造血幹細胞移植=あらかじめ自分の骨髄や血液の中の造血幹細胞(赤血球、白血球、血小板のもとになる細胞)を採取し、凍結保存しておきます。そして大量化学療法や全身に対する放射線療法を施行した後に、この造血幹細胞を点滴で身体に戻します。自家造血幹細胞移植は同種移植のためのドナーが見つからない場合に施行されることが多い。
ガンマナイフ 脳へ転移した腫瘍に有効。
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化学療法(抗がん剤)・放射線療法の副作用(ガンセンター情報)
白血球、赤血球、血小板の減少、肝機能障害、心機能障害、腎障害、皮膚障害、粘膜障害(口内炎、食道炎など)、肺障害、視聴覚障害、膀胱炎、出血、発熱、嘔吐、食欲低下、便秘、下痢、痺れ、鬱、不眠、脱毛など


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